Everyday Magic-筆に想いを

心に響く言葉や詩歌を、書でつづる

冬来たりなば春遠からじ-「西風に寄せる歌」より

 

 

大寒に向かう週ですが、今季は 

 

週末から、大寒波の襲来で、

 

大荒れの地域も少なくありません。

 

大雪が早くおさまりますように。

 

厳寒の時期を迎えて、より春の到来が待たれます。

 

 

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「冬来たりなば…」 英詩より (はがき)

 

「冬来たりなば 春遠からじ」

 

この語句は、

 

寒さ厳しい冬が来たならば、暖かな春の訪れも

 

そう遠くはない、ということから、

 

たとえ、つらい状況にあっても、耐え忍んでいれば、

 

やがて、幸せなときもめぐってくる、という意味で

 

使われます。

 

ところで、この言葉、その調子から、

 

出典が、漢詩か古典のようにも思えますが、

 

英詩でした。

 

イギリスの詩人、パーシー・ビシー・シェリ

 

(Percy Bysshe Shelley 1927-1822)の詩

 

「西風の賦」Ode to the West Wind の

 

 最後の一節にあります。

 

シェリーは、バイロンキーツとともに

 

若い世代の浪漫派を代表する詩人で、有名なのは

 

長詩『プロメテウス解縛』(Prometheus Unbound 1820)など。

 

この「西風の賦」も、ともに出版されたようです。

 

"賦" というのは、詩や歌のこと、原文にある、Ode は、

 

特定の人や物に寄せる抒情詩のことですから、

 

「西風に寄せる歌」とも言えます。

 

荒れ狂う西風よ! 迸り出る秋の息吹よ!

枯葉の群れが、今、見えざるお前の傍から

吹きまくられ、

妖魔から逃げ惑う亡霊のように飛び散ってゆく、――

O wild West Wind,  thou breath of Autumn's being,

Thou, from whose unseen presence the leaves dead

Are driven,  like ghosts from an enchanter fleeting,

 

で始まる詩ですが、原詩と対訳は、

 

平井正穂編による『イギリス名詩選』に収められています。

 

イギリス名詩選 (岩波文庫) (岩波文庫

 

シェリーは、若くして海難事故で亡くなったようですが、

この詩を書いた頃に、二人の子供を相次いで失ったと、

解説にありました。I~Vの5部になる詩ですので、

最後のVを引用しておきます。

 

西風よ、

あの森と同じく私もお前の竪琴にしてくれ! 

たとえ あの枯葉のように、

私から枯葉が散っていっても構わぬ。

それよりも、お前の激しい響きが、

森と私の叫びと交じり合い、

 

沈痛な、そうだ、

悲しみを帯びながらもなお快い、

秋の調べを 奏でることを私は望む。

西風よ、烈々たる霊よ、私の霊と

一つになってくれ! 

奔放なる者よ、私と一つになってくれ!

 

西風よ、お前が枯葉を撒き散らすように、

私の死んだように 見える思想を全宇宙に

撒き散らし、その再生を促してくれ!

まだ消え去らぬ煖炉の灰燼と残り火を

撒き散らすように、

 

私のこの詩の呪術の力を用いて、私の言葉を

全世界の人々に向かって撒き散らしてくれ!

西風よ、私の唇を通して、

まだ醒めやらぬ全世界に対する

 

予言の喇叭を響かせてくれ! おお、西風よ、

冬来たりなば春遠からじ、と私は今こそ叫ぶ!

 

Make me thy lyre,  ev'n as the forest is :

What if my leaves are falling like its own !

The tumult of thy mighty harmonies

 

Will take from both a deep autumnal tone,

Sweet though in sadness.  Be thou, Spirit fierce,

My spirit!  be thou me, impetuous one !

 

Drive my dead thoughts over the universe

Like winther'd leaves to quicken a new birth ;

And,  by the incantation of this verse,

 

Scatter, as from an unextinguish'd hearth

Ashes and sparks, my words among mankind !

Be through my lips to unawaken'd earth

 

The trumpet of a prophecy !  O Wind,

If Winter comes, can Spring be far behind ?

 

     (太線が、今回の言葉部分 

       段落は収まるよう変えています)

 

物事は常に動いているので、ずっと続くかに思える状況も

 

やはり移ろい変わっていく…。

 

烈しい西風に向かって叫んでいるような

 

まさに、詩人の魂の息吹が響いてくるような抒情詩ですね。

 

 今日もご覧いただき、ありがとうございました。

  

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