Everyday Magic-筆に想いを

心に響く言葉や詩歌を、書でつづる

ハミングバード-「まわる輪の」エミリー・ディキンソンの詩

 

 

日差しがあるとちょっと暖かだけれど、

やはりまだ寒い。特に朝晩は冷え込む。

花咲き乱れ、軽やかに過ごせる季節も、

遠くないはずで、待ち遠しいこの頃です。

 

 

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      「まわる輪の」E・ディキンスン 半紙1/2

 

まわる輪の

消える軌道

エメラルド色の反響

コチニール色の突進

と 茂みの花はみんな

転げおちた頭を上げる

遠いチュニスからの便りでも

楽々とこなす朝の飛行

 

A Route of Evanescence

With a revolving Wheel -

A Resonance of Emerald -

A Rush of Cochinial -

And every Blossom on the Bush

Adjusts it's tumbled Head -

The mail from Tunis, probably,

An easy Morning's Ride -

           (J1463    F1489)

 

こちらでも何回かご紹介した

岩田典子さんの『エミリ・ディキンスンを読む』で

出会った詩。

 

エミリ・ディキンスンを読む

エミリ・ディキンスンを読む

 

 

岩田さんは、この訳詞を記念学会で朗読した際、

楽しそうに歌ったり、読んだりしたそうだ。

それもそのはず、ハミングバード(ハチドリ)が

花々を飛び回る光景だからと。

 

 蜂鳥は十センチほどの小鳥で長いくちばしを持ち、喉の羽毛が金属的な光沢をしたコチニ―ル(深紅)色、羽根がエメラルド色をしている。毎秒50回から75回も羽根を後ろに激しく振るわせて空中に停止し、花に寄る。原詩のr音や u 音b音の連続に見られる蜂の唸るような音をさせて、凄い速さで「まわる輪」のように花から花へ飛んでいく。その美しさは朝の光に映えてエメラルド色とコチニ―ル色をした宝石のようである。くちばしの突進を受けて、大きくおじぎをした花が勢いよく頭をもたげたときには、蜂鳥はもういない。

チュニス」と閃く。この速さなら、遠い遠いチュニスから便りがあっても、多分午前中には届けてくれるだろう。シェイクスピアを愛読したディキンスンは、「嵐」の中で最も遠い地名として使われているアフリカ北部の年「チュニス」を思い浮かべたのだろうか。遠い見知らぬ地名が加わることで、一層エキゾチックな雰囲気が醸し出される。

 

私は、実際のハチドリを見たことはないが、

確かに、綺麗な色の小さな軽やかで高速な動きを

思い描かせる楽しい感じがする。

 

ちなみに、

ネイティブアメリカンメディスンカードには

いろいろな動物が描かれているが、その中での

ハミングバード(44)は、"喜び”のカードだ。

  

koboaoineko.hatenablog.com

 

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「空と海」-金子みすゞさんの詩

 

 

ようやく暖かな晴天となりました。

 

今日は、暦(二十四節気)でも

虫たちも這い出すという啓蟄ですね。 

 

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          「空と海」 金子みすゞ (はがき)

 

春の空はひかる、

絹のよにひかる、

なんでなんでひかる。

 

なかのお星が

透くからよ。

 

春の海はひかる、

貝のよにひかる、

なんでなんでひかる。

 

なかに真珠が

あるからよ。

 

こちらでも度々取り上げております

金子みすゞさんの詩です。

 

水色ぼかしの和紙のはがきに

書いています。

これを額装なり、単純なフレームに入れる時に

無地のマットだけでなく、柄や色のある紙も

ものによっては、映えたり、

イメージが深まるというか、効果的になるんだなぁと

あらためて気づいた一枚でもありました。

 

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書作品も表装を含めて、味わいが増すのと同じですね。

 

いずれにしても、詩が素晴らしいので

及ばずながら、自分でも何か形にしたくなるのですが。

  

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「祥雲」-めでたい雲

 

 

3月になりましたね。

風がまだ寒いですが、

日差しは春めいてきている。

  

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「祥雲」  はがき

 

 めでたい(吉兆の)雲。瑞雲に同じ。

「祥」の字は"めでたい"しるしの意。

墨場必携の出典には、米芾(北宋の書家)

 

吉兆ということで、招福・吉語。

新春の時期や、新しいスタートを祝福する語でもある。

安定感のある書体は、隷書体です。

 

明るく軽やかであたたかな…そうした雰囲気が

届きますように、と青墨で、

バラ色ならぬ桃色のぼかしの入った和紙のはがきに

書きました。

 

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卒業、新しい季節の始まりへの

今日の一枚です。

 

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「新生」-新たに生まれかわる

 

 

また寒くなったりしながらも

土の中から、緑の小さな芽が

そこかしこに、顔をのぞかせている。

 

明日は、新月。日食だそうですね。

私たちも、毎日新たなスタートを

続けているともいえるかも。

 

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    『新生』    (はがき)

 

古代の篆書体(金文)による。

位牌を作る木を神意によって選び、新しく切り出すことが

「あたらしい、はじめ」の意味になる「新」

「生」は草が生え出る形。生長することから、人が「うまれ、

そだつ、いきる、いのち」の意味となったという

       (白川静常用字解』より)

 

常に自然の中では新たな始まりがあり、

また私たちの小さくとも

新たな決意(芽生え)といったものを大切にしたい。

そのような想いもシンプルに表わせたら…。

 

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あるいは、何かを取り壊して、

また新たに創り上げるという

新生もある。

 

終わりがあれば、始まりもあるように、

絶え間ない循環を感じる季節の変わり目。

 

特に春は、装いも新たというか

刷新するようなエネルギーを

感じさせてくれますね。

 

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一字書『華』-今日の一枚

 

今日の一枚です。

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   「華」 はがき(和紙ぼかし)

        「額入りサイズ:30.5×25.5㎝」

 

花びらが美しく咲き乱れている形の象形。

咲き乱れている花の形であるから、

「はな、はなやか」の意味となる。

白川静『常用字解』より)

 

咲きほころぶ花の様子からきている “華”の

篆書体。

やわらかく明るく楽しい雰囲気を

青墨を使って

ピンク色のぼかしの和紙はがきに

表わしました。

 

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季節の変わり目は、天候が安定しませんが、

やわらかな日差しのなか、

花々が咲き乱れる春も近づいてきました。

 

まさに、華やいだ季節である

春の到来を想いつつ、

今日の一枚でした。

 

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「まぶしいはるが」二題-まどみちおさんの詩

 

 

春並みに、気温が高いようですが

すごい風ですね。

春一番になるのか…な

二月も半ば過ぎると、

こういう日も出てきますね。

 

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  「まぶしいはるが」 まどみちお   大判はがき

 

きのめが おきる

もうすぐ おきる

みている ゆめが

まぶしい はるが

もう くるからよ

 

ちょうちょを

つれて

ゆきのやま

こえて

ひとりで ひとりで

もう くるからよ

 

こちらでも、おなじみの

まどみちおさんの詩です。

 

説明いらないですね(笑)

 

先に、大判はがき(二層紙)を上げましたが、

この詩を最初に書いた時は、

和紙の柄入り便せんでした。

柔らかな風合いの紙です。 

 

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ちなみに、二層紙というのは、重単宣、つまり紙が二重なので

筆力も少しいりますが、うまく墨がのれば深みも出るので、

大作にはよく使いました。(単宣だと、強い線を引いて、

墨がたまり、紙が切れてしまう場合もあるのです)

このはがきの場合は、絵手紙などに使うようですね。

 

話がそれましたが、

季節の変わり目になってきて

気温も変動が大きくなりそうです。

確かに、

まどさんの詩のように、木の芽が起きてきて、

地面からは、緑の新芽があちこちで見られ、

春はすぐそこという感じになってきました。

風、おさまってくれないかな。

  

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「見えないもの」-金子みすゞさんの詩より

 

 

今日も晴れ、

風がないので、穏やかな日和になりそう。

寒さの中に、少しずつ春の兆しも

感じ始めています。

  

 

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 「見えないもの」  金子みすゞ   (色紙)

 

 ねんねした間になにがある。
  
 うすももいろの花びらが、
 お床の上に降り積り、
 お目々さませば、ふと消える。

 誰もみたものないけれど、
 誰がうそだといいましょう。

 まばたきするまに何がある。
 
 白い天馬が翅のべて、
 白羽の矢よりもまだ早く、
 青いお空をすぎてゆく。

 誰もみたものないけれど、
 誰がうそだといえましょう。

    「見えないもの」 金子みすゞ

 

 金子みすゞさんの詩です。

 

金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)

金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)

 

 


別に透視するまでもないですが(笑)

目に見えるものが全てでないわけですから

また

見ているようで実は、

よく見ていなかったりしますし、

日々感じることや、素朴な感覚というのは

ほんとうに大切にしたほうがいいなと思います。

みすゞさんの詩もこのテーマは

繰り返し出てきますが、

大事なものや豊かなものは・・

「大切なものは目にみえない、心で見なくちゃ…」

星の王子さま』にもありますね。

 

 

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