Everyday Magic-筆に想いを

心に響く言葉や詩歌を、書でつづる

絵本『エミリ・ディキンスン家のネズミ』から-寄り添う言葉

 

 

 詩人エミリ・ディキンスン家に

 

住みついた白ねずみのエマライン。

 

エミリの詩に触発されて、 詩を書き出し、

 

ひそやかにエミリとの交流(文通)が始まる。

 

ディキンスンの詩12篇と、エマラインの詩7篇も

 

ちりばめられた可愛らしくて素適な物語(絵本)

 

 

 

エリザベス・スパイアーズ作、

          

そして、クレア・A・ニヴァラの 

 

ペン書きの絵が、また愛らしく、

 

訳者は、詩人の長田弘さん。

 

ちいさな宝物見っけ!みたいに

 

図書館(児童室)で借りてきた。

   

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                                                         (半紙1/2)

小さくとも、思い高く、

一本の花を、一冊の本をそだてるのだ。

微笑みの種子を播き、――

誰にも知られずに、花ひらくまで。

      エミリ・ディキンスン  長田弘

 

By Chivalries as tiny,

A Blossom, or a Book,

The seeds of smiles are planted -

Which blossom in the dark.   

                            Emily Dickinson

 

絵本の冒頭の詩です。

 

ディキンスンの詩は、タイトルがないため、通常

(編集された)ジョンスン版の番号で示されるが

私のは、新しいフランクリン版のペーパーバックなので

番号がかなり前後していて、(今回は、J-55→F-37)

拾い読みして見つけて、嬉しかった。

 

 

さて、絵本の詩もすべて、

長田弘さんによる新訳ということで

これがまた素晴らしい。

 

作者の想いを直に感じられる原詩が味わえれば、

それは、何よりだが、

日本語の感性も加わる、翻訳詩の味わいも楽しい。

名訳といわれる外国の詩では、時に、本家より

詩的になっていたりするものも、少なくない(笑)

 

とはいえ、原作でも読んでみたいという、

毎度の思いもまた頭をもたげる。

英語の原題は、”THE MOUSE OF AMHERST”

アマストのネズミ

AMHERST(アマスト)というのは、

ディキンスンの町である。

 

絵本は、児童室にあったけれど、

どんなお子さんが借りるのだろう。

自分の手元に置いておきたいくらいだ。

 

以前、これまた

素晴らしい絵本『エミリー』(バーバラ・クーニー絵)

についても触れたことがあったが、

 

koboaoineko.hatenablog.com

 

こちらは、今見るとしたら、古本か図書館になるようだ。

 

一つの心が壊れるのをとめられるなら

わたしの人生だって無駄ではないだろう

一つのいのちの痛みを癒せるなら

一つの苦しみを静められるなら

 

一羽の弱ったコマツグミを

もう一度、巣に戻してやれるなら

わたしの人生だって無駄ではないだろう

               

If I can stop one Heart from breaking

I shall not live vain

If I can ease one Life the Aching

Or cool one Pain

 

Or help one fainting Robin

Unto his nest again

I shall not live vain.

 (J‐919・f‐982)

 

そういえば、東日本大震災のあと、

 

新聞(天声人語)に引用されたという詩があって、

 

それは、ディキンスンの4行詩だった。

 

失意の胸へは

だれも踏み入ってはならない

 自身が悩み苦しんだという

よほどの特権を持たずしては―― 中島完訳

 

Unto a broken heart

No other one may go

Without the high prerogative

Itself hath suffered too       ( f-1745  J-1704)

 

生涯、表舞台にでることなく、ひっそりと

 

詩作を続けていたエミリ・ディキンスン。

 

彼女の言葉は、

 

そっと、ただ寄り添ってくれるかのように

 

時に、人を癒してくれるように感じる。

 

今日もご覧いただき、ありがとうございました。   

                        

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